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2026.06.27

IR外注はあり?内製との違いと選び方のポイント

IRは外注すべき?内製とのメリット比較と判断基準を解説


IRの外注は「あり」です。結論から言うと、戦略の軸とメッセージは内製で握りつつ、資料作成や翻訳など専門性が高く工数が重い部分だけを外注する“ハイブリッド型”が、コストと質のバランスが最も良くなります。



【この記事のポイント】


IRは、本来「企業が何を目指し、どう価値をつくるのかというストーリーを語る経営活動」であり、この軸だけは社内(経営陣+IR)が握る必要があります。


一方で、IR資料の構成・デザイン・投資家向けの言い換えなど、専門ノウハウが要る部分は外注のメリットが大きく、実際にIR資料委託の利点として「品質向上」「工数削減」が挙げられています。


現実的には「全部内製」か「全部外注」かではなく、「戦略・ストーリーは内製」「翻訳・資料整形・一部調査は外注」という分担が、社内の負荷とノウハウ蓄積の両立につながります。



今日のおさらい:要点3つ


一言で言うと、IRを丸ごと外注するのではなく、「外に出せる作業」と「社内に残すべき判断」を切り分けることが重要です。


実は、IRをすべて外注に頼ると「社内にノウハウが蓄積されない」「スピードが落ちる」という経理など他業務の外注と同じ課題が出ます。


迷っているなら、「決算説明資料の骨子は社内で作り、構成とデザインだけを専門会社に頼む」など、小さな外注から試すのがおすすめです。



この記事の結論


一言で言うと、IRは「戦略とストーリーは内製」「型と表現は外注」のハイブリッドがベストバランスです。


最も重要なのは、「外注すべきか」ではなく「どの業務を外注し、どこまでを社内で持つか」を切り分ける判断基準を持つことです。


失敗しないためには、「短期的なコスト」だけで判断せず、社内にどこまでIRの知見を残したいか(3〜5年スパン)を決めてから、外注範囲を設計する必要があります。



IRを内製し続けたときに起きる“現場の疲労”


決算前になると、パワポとにらめっこする夜が続く


正直なところ、IRの資料づくりは「最後の2週間」に仕事が集中しがちです。弊社が以前ご一緒した上場企業のIR担当者は、決算のたびに夜遅くまでパワポと格闘していました。デスクの上には、前期の説明会資料とエクセルの決算数値が広がり、時計の針だけが静かに進んでいく。


締切前夜、ふと漏れた一言が忘れられません。




「数字を理解するより、どう“うまく見せるか”に時間を取られている気がしてきて…。」



IRの専門家も、「IRの本質はストーリーを語ること」であり、単なる情報の羅列に終わらせてはいけないと指摘しています。


でも現場では、そのストーリーを形にする作業に追われて、肝心の「ストーリーの磨き込み」に割ける時間が薄くなっている。そんな“谷”に落ちているIR担当は、少なくありません。本来一番時間をかけたい「経営の意図を投資家にどう伝えるか」という考え抜きの時間が、作業時間に侵食されている――この構造を放置すると、IR担当のモチベーションも徐々にすり減っていきます。



社内にIRの経験者がいない、教科書をなぞるしかない


IR活動の解説では、「企業説明会や自社サイトなど、IRには様々な手段があり、評価の高いIRには“わかりやすさ”と“双方向性”が必要」と書かれています。


頭では分かっていても、社内にIR経験者がいないと、その“わかりやすさ”の基準が持てません。


弊社がある中型株企業と資料を作っていたとき、IR担当(もともとは経理出身)がこう話してくれました。



「正直なところ、決算短信の表現をそのままパワポに貼っているだけなんです。投資家が本当に知りたいかどうかは、まだよく掴めていなくて。」



資料を読み返すと、数字は正確ですが、「だから何?」が抜け落ちているスライドが続いていました。こうしたときに、他社事例や「投資家に届く言い換え」を持っている外部の知見は、大きな意味を持ちます。


経理出身者がIRを担う場合、数字の正確性は担保できる一方で「どこを強調し、どこを省くか」という編集判断の経験値が足りないことが多くあります。これは個人の能力の問題ではなく、純粋に経験量の問題なので、外部の知見を一時的に借りることが解決の近道になります。



外注は気になるが、「丸投げして失敗するのが怖い」


システム開発や経理業務の外注でも、「外注はしたいが、業務の把握ができなくなるのが怖い」という話はよく聞きます。


IRも同じです。


過去に、ある企業のCFOがこんな経験を話してくれました。



「昔、別の会社でIR資料を外注したんですが…出来上がってきた資料を見たとき、“うちの会社じゃないみたい”だと感じてしまって。」



そのトラウマから、外注に強い警戒心を持つようになったと言います。実はこういうケースは、「範囲を決めず、丸ごと投げてしまった」ことが原因であることが多いです。


外注で失敗する典型は、「期待値合わせの時間を惜しんで、いきなり成果物を依頼してしまう」パターンです。逆に、最初に1〜2時間かけて「この会社の現在地と語りたい方向性」をすり合わせておけば、納品物の手戻り回数は劇的に減ります。



IR外注と内製、それぞれの特徴と役割


そもそも「内製」と「外注」は何が違うのか


業務の内製化についての解説では、「内製化とは、外部に委託していた業務を社内リソースで対応する体制に切り替えること」と定義されています。これに対して外注(アウトソーシング)は、「専門的な知識やスキルを持つ外部に業務を委託すること」です。


他業務の内製 vs 外注の比較では、次のような一般論が示されています。


内製の主なメリット



内製の主なデメリット



外注の主なメリット



外注の主なデメリット



IRもまったく同じ構図です。違いは、「IRには“企業の顔としてのストーリーづくり”が含まれる」という点。ここを丸ごと外注するのは危険ですが、「型づくり」「翻訳」「デザイン」といった部分は外注と相性が良いです。



IRを外注するメリット – どこに“プロの力”が効くのか


IR資料作成の外注解説では、主なメリットとして次の3点が挙げられています。


1. 専門知識とノウハウを活用できる



2. 投資家との関係構築のきっかけになる



3. IR担当者の工数削減



弊社も、外注チームとして関わったとき、「決算資料の骨子と数値は社内で用意してもらい、構成・表現・図解をこちらでブラッシュアップする」という形が最も効果的だと感じました。完成した資料を前に、IR担当がこう漏らしたことがあります。



「実は、同じ数字なのに、“言い方”と“並べ方”だけでここまで伝わり方が変わるんですね。」



この「気づき」が、次回以降の内製能力の向上にもつながっていきます。外注を「単なる作業の代行」と捉えるか、「学びの機会」と捉えるかで、3年後に社内に残るものが大きく変わってきます。



IRを内製するメリット – “芯”は社内でしか作れない


一方で、IR活動そのものの解説では、「評価の高いIRのポイント」として次が挙げられています。



これは、どれだけ外注を使っても代替できない部分です。IRの専門家も、「IRは企業が何を目指し、どんな戦略で価値をつくるかという“ストーリー”を伝える活動」だと強調しています。


私がある企業で、外注側としてドラフトを作った際も、最後の仕上げは必ず経営陣とIRチームが行いました。あるCFOは、原稿の途中に手書きでこう追記していました。



「正直なところ、この2年は投資フェーズで利益は圧迫されますが、その先の3年で必ず回収する意図です。」



その一文が入っただけで、資料全体のトーンが変わりました。ここは、どう頑張っても外部だけでは書き切れない領域です。経営の生の言葉、現場のリアル、内部だけが知っている前提――これらを資料に織り込めるのは社内の人間だけであり、ここに内製の本当の価値があります。



IR外注 vs 内製の比較と判断基準


メリット・デメリットの比較


他分野の外注 vs 内製の整理を参考に、IRに当てはめると、ざっくり次のように整理できます。





項目

内製(インハウスIR)

外注(IR支援会社・制作会社など)



コスト

人件費+教育コスト。長期的には割安になりやすい。

プロジェクトごとに費用発生。短期的には割高になり得る。



スピード

社内で完結できるため調整は早い。

打ち合わせ・フィードバック分だけ時間がかかることも。



専門性

担当者の経験に依存。

会計・財務・IRに精通したノウハウを活用できる。



品質の安定性

担当者のスキル・忙しさでばらつきが出やすい。

一定水準以上の品質を毎回期待しやすい。



ノウハウ蓄積

社内に知見が溜まる。属人化リスクも。

社内に残りにくいが、うまく連携すれば“学び”として取り込める。



柔軟性

内部事情を踏まえた微調整がしやすい。

依頼範囲外には手を出しにくい。契約の切り方次第。




正直なところ、「全部内製」か「全部外注」かの二択で考えると、どちらもキツい。だからこそ、「どこまでを外に出し、どこからを自社で持つか」の線引きを考える必要があります。


この線引きは、一度決めたら終わりではなく、フェーズごとに見直していくのが現実的です。立ち上げ期は外注比率が高くても、3年後には「資料の8割は内製、最終チェックだけ外注」という形に移行している――そんな段階的な設計図を持つチームが、結果として強くなっていきます。



IRを外注した方がいいケース


システム開発外注のガイドでは、「専門技術が必要」「短期間での開発」「社内リソースが手一杯」な場合に外注が向くとされています。


IRでも、次のような状況は外注活用と相性が良いです。



具体的な外注対象の例



弊社が支援した企業でも、「最初の1年だけ外部と一緒に型を作り、2年目以降はその型をベースに内製比率を上げていく」というやり方がうまく機能しました。翌年の決算時、IR担当が「前回のテンプレがあるだけで、作業時間が3割くらい減りました」と静かに笑っていたのが印象的です。


特に「型がない領域」は、外注の費用対効果がもっとも高くなるところです。ゼロから自社で試行錯誤すると数ヶ月かかる作業が、経験者と組むことで数週間に圧縮できる――この時間差は、IRのスピード感に大きく効いてきます。



内製を強めた方がいいケース


一方で、次のような状況なら、内製比率を意識的に高めた方が良いです。



IRの専門家の解説でも、「IR活動のメリットとして、経営者自らが投資家と話すことで信頼を高める」点が強調されています。これは、外注では補えない部分です。


私が一社で見たパターンでは、最初の2年はコアスライドの作成を外注し、その間にIR担当が「なぜこの順番なのか」「なぜこの言い方なのか」を徹底的に吸収していました。3年目には、その担当が自分で骨子を組み、外部は最終チェックだけに回る形に。そのときの担当の一言が印象に残っています。



「最初は半信半疑だったんですけど、“外注した経験”が、結果的に内製化の一番の教材になりました。」



内製化を本気で目指すなら、外注を「丸投げの場」ではなく「学習機会」として明確に位置づけることが大事です。打ち合わせの議事録、レビューのやりとり、修正履歴――これらすべてが次世代のIR担当者にとっての教材になります。



よくある質問(FAQ)


Q1:IRを丸ごと外注しても大丈夫ですか?


A1:結論としておすすめしません。戦略・ストーリー・最終的な表現は社内で握り、資料構成やデザインなど一部を外注する方が、ブレずに進められます。



Q2:IR資料外注の費用感はどれくらいですか?


A2:ケースによりますが、決算説明資料一式で数十万円〜100万円程度が一つの目安です。テンプレ作成や翻訳込みの場合は、もう少し高くなることもあります。



Q3:外注に出すとスピードが遅くなりませんか?


A3:打ち合わせやフィードバックの分だけ時間はかかりますが、ゼロから自作して手戻りするよりトータルで短くなるケースも多いです。



Q4:外注すると、社内にIRノウハウが残らないのでは?


A4:丸投げすると残りません。ただし、「なぜこの構成なのか」「どんな表現にしたのか」をセットで共有してもらえば、外注は十分“教材”になります。



Q5:内製だけでやるリスクは何ですか?


A5:担当者依存で属人化しやすいこと、投資家目線の表現や他社比較のノウハウが不足しやすいことです。また、決算期の工数が膨らみがちです。



Q6:どのタイミングで外注を検討するべきですか?


A6:新規上場・市場変更・中計発表・統合報告書の初年度など、「いつもより一段上のIRが求められるタイミング」が検討のしどころです。



Q7:IRの外注先はどう選べばいいですか?


A7:IR専門会社や制作会社の実績(同業他社事例)を確認し、「数字とストーリーの両方に踏み込んでくれるか」を基準に選ぶのがおすすめです。コストだけで選ぶと、期待とのギャップが出やすくなります。



まとめ


要点まとめ



迷っているなら、まずは次の一歩から始めてみてください。「次の決算説明資料だけ、骨子は社内で作りつつ、外部に構成・デザインのブラッシュアップを依頼する」――その一回の経験が、“どこまで外注して、どこからを社内で持つべきか”の感覚を、ぐっと具体的にしてくれるはずです。


いまのあなたの会社では、「時間が足りない」のか「専門的なIRノウハウが足りない」のか、どちらの課題感の方が強いでしょうか。

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